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No.195 夢をひき出す作業

ローマにパンテオンという建物があります。それはキリストが生まれる以前、7年ほど前からローマに建築し始めた建物です。今でちょうど2000年ですね。2000年間壊れていないのです。円天井の建物で、大きなドームでそして正面がギリシャ的な建築で柱がドーンと建っていて、 正面が三角屋根になっていて、そういうギリシャ的なものが前にあって、後ろは円いドームなのです。そしてその特徴は円いドームの天井が穴開いているのです。あれは30フィートだったと思うのですが、円い穴がボーンと開いているのです。

円い穴から雨が入って来るのです。太陽も入って来る。太陽が入って来るのは嬉しいけれど、建物の中に雨が入って来たら困りますね。しかしそんなの平気で天井に大きな穴を開けているのです。そこにガラスも張ってないしね。穴が開いているのです。穴が開いているから壊れないのです。上までキチッと引っ付いていたら力が方々へかかるのです。 もし地震があって横に揺れても、上に穴が開いているから力はその穴のところへいけないのです。力がゼロになるのです。だから壊れないのです。2000年間壊れずに、そのパンテオンはあるのです。もう世界一なのです。そんな構造が、壊れないように造る、力学的なことを考えたばかりでなしにね、やはり夢がちゃんとあったのです。

なんで穴が開いているのか。そこには太陽の光がサーっと入って来る。このあいだ言いましたね、太陽を拝みなさいって。その太陽がバーッと降ってくる自然をそのまま裸で受ける。雨も降ってくるのだったら降ってこい。雨がバーッと降ってくる。太陽の光がいやだと言っているのと違う。雨がいやだと言っているのと違う。自然の恵みは何でも受けます。 私はどうなっても構わない。それを受けます。来てくださいと言って受けるのです。

その殿堂の周りにはかつては7人の神様の像が建っていたのです。それは天の7人の神様の像なのです。宇宙の7人の神様を祭って、天を宇宙を合掌して拝んでおった。雨が降っても構わん。ずぶぬれになっても構わん。ずーっと拝んでおった。それからキリストが生まれてきてキリスト教が広まり、ローマがもっと栄えてキリスト教がもっと栄えた時に、 その7人の神様をどこかにやってしまったのです。そして自然崇拝のそのパンテオンをキリスト教の教会にしてしまった。ところがまたそれが文句があって、キリスト教会堂にしたものをまたやりかえて、元通りにしてしまった。偉いですね。

今日の朝、食卓で、このスプーンも夢ですと言いました。自分も夢です。このテーブルも夢です。宇宙にあるものはみな夢です。宇宙存在全てが夢です。未来も夢です。時間も夢です。空間も夢です。あらゆるものが夢によって出来上がっていて、夢を土台として、夢を追い求めているのです。夢が夢を引き手繰り、展開してゆくのです。

それで今日読んだ詩の中に、パンテオンの穴が開いているように、あなたの頭に穴を開けなさいというのがありましたね。あなたの頭は、理性とか、知識とか、あれがいいとか、こうでないといかんとか難しいことがいっぱい頭の中に詰まってある。その頭に穴を開けて、空っぽにしなさい。 パンテオンみたいに頭に穴を開けて、今まであった考えをみんな捨てて空っぽにしなさい。

また今日読んだ詩の中に、変身という言葉がありました。変身、変身せよ。どう変身するのかというと、頭の中にあるものを皆入れ替えようということですね。夢というものをいっぱい詰め込んで下さい。それが変身です。夢を詰め込むのに一番初めに出来る簡単なことは、この手に持ったスプーンも夢さんです。私も夢さんです。 夢さんと夢さんが、夢と夢が…ハッ!何が起きるのですかね。夢が起きます。神話がここに現れてきます。いいですか、これが変身です。

今まで物を物としか分からなかった。道具を道具としか分からなかった。エンピツをエンピツとしか分からなかった。湯飲みは湯飲みとしか分からなかった。そんな人が全てが夢だという実体を知ったら、人と物との間に会話が始まるのです。お茶碗と会話する。スプーンと会話する。テーブルと会話する。空気と会話する。 自動車と会話する。会話から始めないといかんですね。会話がなされないと駄目です。会話は夢が夢を引き出す一つの架け橋です。パンテオンの天井の穴も宇宙の夢との架け橋ですね。政治も宇宙の夢と人間を結ぶ架け橋になってもらいたいものですね…。

  宇宙存在も人間存在もすべて
  詩である  神話である
  その中に夢が内蔵されている
  その夢を引き出せ
  世界が詩そのものとなってくる
  世界が神話そのものとなってくる
  政治も国家もその為にあるのだ




■■ 頭の力を抜け ■■

ローマのパンテオンの建築
ゼファーソンのモンティチェロを思い浮かべよ
ゼファーソンの建てた家の天井に穴が開いている
ローマのパンテオンも穴が開いている

その穴には 力がかからない
だからパンテオンは何千年たってもつぶれないのだ
それは人間に力をぬけとという事を教えている

力ですすむ者は 力ですすむ国家は いつか滅びる
力をぬけとそれ等は言う

力をぬいて零になれ
零になってそこから出発だ
零の地点は時間のない世界だ
零にならないと
時間の世界をぬける事は出来ない

宇宙の根源 ピュアーな世界には 結果はない
我々は いつも 結果を求めている

結果を求めない零の地点を
心の中につくれ

結果の中で生きているから 人は怒りをもつのだ
いかなる結果ももたず
手助けとしてヘルプ者として
訪問者として 人々につくせ

変身 変身 変身者として
上につっ立て
上の世界には結果はない

結果を求める世界は下の世界である
悟ろうとする事もやめよ
神を仰ぎみる事もやめよ

神と共に遊べ
神の肩をマッサージし
神の足をさすってみよ

浩司のいったドングリの水泳ぎ
魚の為に樹の枝を全部とりのぞいてほしいという心
それを幼稚な子供の心と思わず
それを天上にのせてみよ
下でそれらを扱ってはならない
上でそれらを扱え
自己の内なる大宇宙が動いてくる

下から上を仰ぎみてはならない
下にとどまってはならない
その習慣をやめよ
それは今日までの はてしなく苦のつづく
精神文明である
上につっ立て
贈り物として つっ立て
今までの理性は崩れ
新たなる理性の世界がやってくる
力をぬいて 大雨の中に立ってみよ


1994.2.8